〒463-0801 愛知県名古屋市守山区竜泉寺1丁目409
お気軽にお問合せください
OR(Operations Reserch) その10
プライシング(値決め)について,ご紹介します.
一般的に商品の価格設定の方法には以下の方法があります.
・コストプラス法:原価に利益を加える.
・市場価格追従法:競合商品の価格を基準に決める
・名声価格法:プレミアムにより他の商品より高く設定する.
などです.ただ,具体的に目の前の商品をいくらで売るかをどうやって決めれば良いでしょうか?
経営の神様,稲盛和夫氏は稲盛経営12か条の第6条で以下のように述べられております.
第6条 値決めは経営―値決めはトップの仕事。お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である―
では,経営で真に大切な値決め=一点のポイントはどうやって決められるのでしょうか?
ここで,一つの例として,ラーメン店での価格設定を考えてみます.
利益は次の式で表せます. π(P)=(P-C)(D0ーαP)
ここで,π:利益,P:価格,C:原価,D0:潜在的なお核様の数,α:価格弾力性 です.
この場合,利益を最大にする最適価格P*は次の式で表せます. P*=(D0+Cα)/2α
つまり,CとD0とαで決まります. Cはラーメンの原価ですので,経営者の方は材料,光熱費などから計算できると思います. 問題はD0とαです.こればかりは,商品の魅力,人気,競合状況等によって異なりますので,経験からはじき出すしかありません.例えば,下図のような場合を考えてみます. つまり,過去の経験から,1杯500円としたら,1日100杯売れ,価格を上げていくと,売上数(お客様の数)がだんだん減り,1杯1000円にすると,お客がゼロになる場合を表しています. この場合は,D0は200でαは0.2となります.例えば,原価Cが300円としたら, 最適価格P*は(200+300*0.2)/0.4=650円となり,その場合の1日の売上数は70杯となり, 利益は24,500円となります.1ヶ月の営業日数を25日とすると,月の利益は612,500円となります.
詳しい説明をお聞きになりたい,御社の商品の価格を検討してみたいという飲食店,小売店の皆様、お気軽にご連絡ください。
その6で扱いました、ケーキ店の事例ですが、曜日と明日の天気予報から、明日の販売個数の凡そ予測は、多重クロス表から分かりますが、具体的な予測販売個数はどのように求まるのでしょうか?
それは、重回帰分析を質的データに応用した、数量化Ⅰ類分析で行うことができます。ケーキ店の事例の場合は、具体的には、以下の式の係数を求めることです。
販売予測個数=A0+A1*(日曜/祝日)+A2*(火曜)+A3*(水曜)+A4*(木曜)+A5*(金曜)+A6*(土曜)+A7*(晴)+A8*(曇)+A9*(雨)
ここで、(日曜日/祝日)や(晴)はダミー変数と呼ばれ、0もしくは1の値をとります。該当すれば、1となり、該当しなければ、0となります。
この分析も、Excelの回帰分析で、係数が求められるとともに、重相関係数も得られ、説明力の強さが確認できます。一般に0.8以上が望ましいとされています。
表1に、ダミー変数に変換した100日分のデータの内、直近の25日分のデータを示します。この表に火曜日のダミー変数が無いのは、その他の曜日がすべて0であることで表せるからです。雨が無いのも同じ理由です。このデータを回帰分析することで、図1の分析結果が得られました。
重相関係数は0.93で、十分な説明力と考えられます。求められた、式は以下です。
販売予測個数=74.066+30.822*(日曜/祝日)+0.0*(火曜)+4.559*(水曜)+18.031*(木曜)+17.189*(金曜)+28.028*(土曜)+14.463*(晴)+6.460*(曇)+0.0*(雨)
火曜日と雨の係数が0なのは、その組み合わせの場合の販売個数が定数の74.066個になっているからです。分析結果から、標準誤差が5.0ですから、この式での予測値と実際の販売個数の差の平均は5個と分かります。
このような、販売予測も過去の販売実績データが得られれば、容易にどなたでも、行うことができるとともに、そのモデル式も最新の実績データが増えていくことで、どんどん最新化(モデルの老朽化により、係数を見直す)することもできます。
御社の販売予測を始めてみたいという小売店の皆様、お気軽にご連絡ください。
OR(Operations Reserch) その8
その7につづきまして、その8では、新たに、コンビニを開店する場合に、予想される売上高をハフモデルを用いて、求めてみます。
ここで、ハフモデルとは、「複数地点の間の相互作用を表現する空間相互作用モデルのひとつ。 主に小売施設の商圏分析や新規施設の売上高の予測に用いられる。 施設の吸収力を,売場面積や売上額などの施設の規模に比例し, 消費者から施設までの距離に反比例するものとして定義する。 そして, 吸収力の相対的な大きさによって, 消費者が複数の施設の中から特定の施設へ出向く確率を求める。」(出典:OR WIKI)というモデルで、以下の式で表されます。
店舗Aの吸引力=(店舗Aの売場面積/居住地と店舗Aの距離^λ)/S
S=(店舗Aの売場面積/居住地と店舗Aの距離^λ)+(店舗Bの売場面積/居住地と店舗Bの距離^λ)+・・・
+(店舗Nの売場面積/居住地と店舗Nの距離^λ)
ここで、λは距離の抵抗係数で、最寄品では大きくなり、買回品では小さくなります。過去に通産省が用いたモデルでは、λを2に固定しました。これを修正ハフモデルと呼びます。今回は、λ=2として、計算してみます。
もちろん、コンビニをどこかのコンビニチェーンのフランチャイジー(加盟店)として、開店する場合は、フランチャイザー(本部)から、しっかりと実績データに基づく、説明が受けられるのでしょうが、ここでは、自力で、無料で、どこまで求められるかを試した事例です。また、計算に用いた競合店のデータはすべて架空のものです。
それでは、またまた、私の生まれた場所で、コンビニを開店することを計画してみました。ここでは、商圏範囲を仮に半径500mとして、その範囲にある世帯が検討対象の世帯としました。また、その半径500mの商圏内と商圏が重なり合う競合店が4店あることがわかりました。これを、図1に示します。まず、新しいお店は家の絵になっています。内側の青いサークルは半径500mの範囲で今回対象の商圏を表します。さらに、商圏が重なるのは、外側の青いサークル(半径1000m)の中にある他のコンビニ店になります。ここでは、4店見つかり、その位置を赤いピンで示すとともに、それぞれの商圏を赤いサークルで示しています。
次に、その7と同様に、政府統計e-Statの統計GIS,jSTAT MAPをもちいて、半径500mの範囲内の世帯数を求めます。その際、最も細かいメッシュサイズ、5次メッシュを用いることで、250m四方単位の範囲での世帯数が求められます。図2にメッシュの位置とサイズを示します。また、それぞれのメッシュコードから緯度、経度が求められます。また、各お店の位置からも緯度、経度が求められます。それらの位置データから、それぞれの距離(m)を計算したのが、図3です。これらのデータを用いて、λを2にして、計算した修正ハフモデルの結果を図4、図5に示します。求められた比率で、各メッシュ毎の世帯数を按分することで、自店に買いに来られる世帯数が求まります。この場合は、半径500mの商圏内には4276世帯ありますが、その中の1387世帯が買いに来られると求められました。あとは、一世帯あたりのコンビニ消費支出額をかければ、予想売上高が求まります。ここでは、少し古いデータですが、同じくe-Stat内で求まる、2014年の全国総世帯消費支出先別データから、コンビニでの消費支出、月3811円という値を用いることにしました。そうして、求めた予想売上高を図6に示します。月売上が530万円ほどでは、売上高利益率2~5%といわれるコンビニ業界では成り立たないことが、分かりました。やはり、すぐ近くに、すでにコンビニがあり、商圏がほぼ重なっていることが大問題であることがよく分かります。では、どこに出店すれば、適切な商圏サイズを確保できるかも、この作業をより広い範囲で実施すれば、可能と考えます。
今回も、細かい計算手順の説明は省略していますので、気になる方はお気軽にご連絡ください。
OR(Operations Reserch) その7
ORの広範な分野の一つにマーケティング・サイエンスがあります。
「数量分析の手法を駆使したマーケティングの研究方法。現実の世界を表現する数量モデルを作成し,多くの場合,コンピュータ上でそれを動かしてみることで現実の世界の動きを予測するシミュレーション・モデル分析が用いられる。」(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)とあります。例えば、少し前に話題となりました、ユニーバーサルスタジオジャパン(USJ)の元マーケティング本部長の森岡毅氏、元シニアアナリストの今西聖貴氏共著の「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」がまさに、マーケティング・サイエンスの理論を実践にて活用して、USJをV字回復させる偉業を成し遂げた事例です。
私もこの分野に興味があり、勉強していましたが、大企業はともかく、中小企業が実際に適用するには、まず、分析の基本となる商圏のデータすら簡単には手に入らず、専門有料ソフトを利用するか、専門の業者に依頼するしかありませんでした。
ところがです。2018年1月に政府統計の総合窓口(e-Stat)がリニューアルし、誰でも、無料で、利用でき、多くのデータを即時に入手することが可能になりました。
そこで、今回はこの機能を利用した商圏を求める事例を紹介します。
一例として、私が生まれた場所、名古屋市南区豊一丁目でケーキ店を開店しようとした場合、徒歩で来店できる範囲内にどの程度の人数が住んでいるのか、その年令別分布は、男女比は、などが知りたくなります。
それは、e-Statで一瞬にして、求められます。ここでは、得られた結果のみを、示します。下図の左は、徒歩5分圏内をエリア1に、徒歩10分圏内をエリア2に、徒歩20分圏内をエリア3に設定した図です。もちろん、時間の設定は自由にできますし、自動車での圏内設定もできます。下図の右が、求められたデータのごく一部です。エリア毎の人口、男女比、年齢構成、世帯数などがひと目で把握できます。この機能を活用すれば、どなたでも、事業を開始する前に、商圏の規模の把握ができます。次回はその商圏データをどのように、活用できるかについて、説明します。
今回の詳しい操作説明は、e-Statのサイトの中に、「統計GIS 地図で見る統計(jSTAT MAP)」があり、その中に操作マニュアルがPDFでありますので、ご確認ください。もし、より詳細な活用法にご興味がございましたら、当方までご連絡ください。
OR(Operations Reserch) その6
<簡単な事例>ケーキ屋さん。1個300円でケーキを販売。製造原価は1個100円。ケーキは5個単位で販売される。また、売れ残りは廃棄処分とする。このとき、利益を最大とするためには何個製造するかを求める事例。ここで、過去100日の日別の販売実績が表1の通り得られたとします(ここでは25日分を抜粋)。
すると、Excelのピボットテーブル機能を活用すれば、表2のような曜日別販売個数集計表、表3のような天候別販売個数集計表、さらに、それらの多重クロス集計表(表4)が簡単に作成できます。
曜日によっても、天候によっても販売個数は影響を受けることが明確であることから、このデータを活用して、製造個数を決定するのが保有するデータの活用です。
ちなみに、気象庁が発表している、夕方5時の発表で明日の降水の有無の的中率は87%となっていますので、ほぼ確実に当たると考えられます。
また、今回は曜日と天候のみを変数として活用しましたが、給料日、近隣の行事などのデータも加味するとさらに新たな影響要因が発見できるかもしれません。
OR(Operations Reserch) その5
④新聞売り子問題:期首に仕入れて期末に残った在庫を破棄しなければならない品物に対する, 離散時間の確率的在庫モデル. 毎期の需要Dは確率密度関数f(t)にしたがう確率変数であり, 仕入れ費用がc, 品切れコストがp, 期末の在庫残に対する費用がhのとき, 品切れコストと期末の在庫残に対する費用の和を最小にする在庫量を求める問題.
<簡単な事例>ケーキ屋さん。1個300円でケーキを販売。製造原価は1個100円。ケーキは5個単位で販売される。過去100日の販売実績は表の通り。また、売れ残りは廃棄処分とする。このとき、利益を最大とするためには何個製造するかを求める事例。
この場合、利益を最大とする製造個数は110個となり、期待利益は18,700円となります。例えば、製造個数を100個とした場合は、期待利益は18,350円、製造個数が120個とした場合は、期待利益は18,300円となり350円から400円期待利益が小さくなります。
と、昭和時代はこれで良かったのかもしれませんが、令和の時代はこれではいけません。では、どうすれば。それは、その6で説明します。
OR(Operations Reserch) その4
③ナップサック問題:重さがaiの物品iをナップサックに詰めるとき, 重量制限 bの下で価値 ciの総和が最大になるものを選ぶという整数計画問題.
<簡単な事例>今年度の設備購入予算が7億円だとします。表に購入希望のある設備の価格と購入時満足度を示します。予算内で満足度を最大にする選択を求める事例。
この場合、最適選択はレーザー加工機、3Dプリンター、5軸マシニングセンター、大型立旋盤で、満足度合計は15となります。もし、満足度の大きい順に選択した場合、レーザー加工機、3Dプリンター、電子ビーム溶接機で、満足度合計は14となり、1小さくなります。
OR(Operations Reserch) その3
②巡回セールスマン問題:枝に重みを与えたグラフGにおいて, すべての点を丁度1度ずつ訪問して元に戻る巡回路(ハミルトン閉路)のうち, 総重みを最小にするものを求める問題. グラフの枝が有向であるか無向であるかで大別する. 平面上(あるいは空間内)のn点と各点の間の距離が与えられたとき, すべての点を訪問する順回路のうち最短のものを求める問題, と定義されることもある. (出所:http://www.orsj.or.jp/ OR事典Wiki)
<簡単な事例>名古屋市昭和区役所の所員が緑区、守山区、中川区、熱田区、名東区の各区役所を書類を持って移動し、最後に昭和区役所に戻る場合の総移動距離が最短となる移動順序を求める事例。
この場合、総移動距離が最小となる移動順を図に赤矢印で示します。総移動距離は46.68kmとなります。ちなみに、上記記載の順番で移動した場合(図中の青い矢印)は70.81kmとなります。
従いまして、この事例の場合、知らずに移動計画を立てていた場合、24.13km余分に移動していたのかもしれません。
OR(Operations Reserch) その2
で、中小企業において、具体的には、どう云う場合に活用できるの?と思われていると存じます。
そこで、ビジネス上での最適化事例をいくつかご紹介します。
①輸送問題:複数の供給地と需要地があり, それぞれの供給/需要量と, 各供給地と需要地間の輸送費用がわかっているとき, 供給/需要を満たし, 輸送にかかる総費用を最小にするような輸送方法と輸送量を決定する問題.2部グラフ上の枝容量のない最小費用フロー問題として定式化できる. (出所:http://www.orsj.or.jp/ OR事典Wiki)
<簡単な事例>工場が名古屋市と小牧市にある。お客様の工場が岡崎市、豊田市、四日市市にあり、部品を輸送する。名古屋市の工場での生量量30個/日、小牧市の工場での生産量20個/日、お客様の需要が岡崎市が15個/日、豊田市が25個/日、四日市市が10個とし、輸送費が名古屋工場と小牧工場から各お客様の工場ごとへの輸送費が設定された場合の、総輸送費が最小となる輸送方法を求める事例。
この場合、総輸送費が最小となる輸送配分を図に示します。総輸送費は300千円/日となります。ちなみに、最大となる場合も求められ、340千円/日となります。
従いまして、この事例の場合、知らずに輸送計画を立てていた場合、毎日40千円、1ヶ月で80万円も余分に輸送費を支払っていたのかもしれません。
OR(Operations Reserch) その1
見える化したデータの活かし方について、皆様お困りではありませんか?
そもそも、見せるデータが無いよという皆様は”VICTORのICTって”を御覧ください。
データは集まってきたけどどう見ればいいのという皆様は”VICTORのVって”を御覧ください。
ここでは、見える化したデータを活かすために、オペレーションズ・リサーチを用いた最適化について自分の学びを踏まえて記します。
では、オペレーションズ・リサーチって何という声が聞こえてきますが、それは下の図をご覧ください。
これは、私も所属しています日本オペレーションズ・リサーチ学会が作成した紹介ポスターです。
出所URL:http://www.orsj.or.jp/members/poster.html
ここには、オペレーションズ・リサーチは”「困っていること」(=問題)を科学的に解決するための「問題解決学」です。問題の分析と解決のための計画立案やその実施、意思決定を助ける「実学」なのです。問題のありかや応用の範囲を選びません。”との説明があり、暮らしの中の様々な困りごとに対して、活用されていることがわかります。
この手法はもちろん皆様の会社の問題解決にも活かせます。次回以降、どのように活用するのか、活用事例について記していきます。
代表の勝です。
あなたのお悩みを解決します!
当事務所では、中小企業診断士・MBAをもった代表自らが、ICTを活用して得られたデータを分析・評価し、ORを用いて最適化・効率化すべく、御社の経営にあった仕組みづくりのご提案・経営状況の見える化・経営改革・現場改善など、経営コンサルティングを承ります。
まずはお気軽にご相談ください。
2024年11月24日
2024年6月9日
2024年4月1日
2023年8月12日
2023年6月29日
2022年4月5日
2021年11月22日
2021年9月20日
2021年9月8日
2021年8月9日
2021年6月10日
2020年11月17日
2020年9月12日